小規模企業のIT活用が最高の投資な理由3選

このページに来ていただいた方は、少なくとも「小規模企業におけるIT化」について興味・関心がある方だと思います。

そして、もしかしたら
「うちの会社、社長がITに疎くて効率化できていないんだよな……」
「経営上の課題としてIT化が議題に上がったから、とりあえずIT化の勉強しなきゃ……」
などとお考えかもしれません。

今回の記事では、そのような悩み・社内の課題を解決できる対策を紹介します。
まずは、小規模企業の現状やIT化の具体例を紹介したうえで、本題の「小規模企業のIT活用が最高の投資な理由」を説明していきます。では、早速進めていきましょう。

小規模企業のIT化の現状

2018年版「中小企業白書」より

小規模企業の現状としては、上のグラフのように必ずしもIT化されている企業が多いとは言えません。

特に「この中に活用しているものはない」と答えている会社が1割もあるのは驚くべきことです。
電子メールすら利用していない企業の割合も3割近くと、インターネット環境にほぼ頼らない運営体制の小規模企業がいまだに数多く存在していることが分かります。

しかし、注目するべき点はそれだけではありません。
「電子メールの利用」や「オフィスソフトの利用」は6割を超えているのに対して、「自社ホームページの開設」「パッケージソフトの利用」になると4割程度と、ここにも大きな差があります。

「別に、ホームページが無くても運営できるなら問題ないじゃないか」という声もあるでしょうが、残念ながら、ホームページが無いデメリットは想像以上です。簡単に説明していきます。

ホームページの必要性

ホームページの必要性・重要性の根拠となる理由を羅列していきます。

  • 企業サービス・商品のPR機会の損失
  • 情報開示不足による問い合わせの増加
  • 労働力が集まらない
  • ホームページを持つ競合企業に負ける

では、これらの根拠を一つずつみていきましょう。

企業サービス・商品のPR機会の損失

当然、企業であるからには顧客がいるはずです。その顧客は小規模企業の情報を既に十分に知っていればよいですが、そのような状況は少ないでしょう。既にある程度の関係を築いてきたとしても、その顧客に新たに提案できる商品やサービスがあるはずです。

新規のお客様から問い合わせがあった場合はどうでしょうか。商品の情報を分かりやすい形で伝える必要がありますね。ホームページがあれば、該当するページを伝えるだけですが、ない場合は紙のパンフレットを送付したり、FAXで送ったりと手間がかかります。そして手間がかかる分どうしてもスピーディーな対応が難しくなりがちです。相手が複数の類似企業に問い合わせをしていた場合、早い対応をした会社に早急に決まってしまうこともあるでしょう。

ホームぺージがないことで、PRする機会そのものを失ってしまう可能性があるのです。

情報開示不足による問い合わせの増加

ホームページがないと、新規の顧客は小規模企業の商品を何らかの形で知ったとしても詳細情報を知るすべがありません。そうすると、電話などで問い合わせることになりますね。昔はこれが普通でしたが、今はこのひと手間が想像以上に負担を感じる世の中になりました。この負担は顧客だけではなく、実は自社にとっても、電話対応スタッフの確保など経営コストの増加という形で跳ね返ってきています。

労働力が集まらない

就職や転職を考えている人は、ハローワークや転職サイト、チラシ、口コミなどで会社を探します。そして目をひく企業を見つけると、「とりあえずググってみよう」と考える方が多いのではないでしょうか。「どんな会社なんだろう?」「どんな人が働いているんだろう?」「評判は?」など、詳しい情報を知りたくなるものです。

そのときに最も参考になるのが、コーポレイトサイト。 ホームページへの力の入れ具合を見て「この企業は信頼できそうだ」「この企業は今どきホームページすらまともに作らないのか……」と判断されてしまう可能性があります。

口コミサイトなどでネガティブなことが書かれていても、コーポレイトサイトを見て信頼できる会社だと思ってもらえることもあります。顧客だけでなく、潜在雇用者に対しても自社のメッセージをしっかりと伝え、信頼につなげる場がホームぺージであると言えるでしょう。

ホームページを持つ競合企業に負ける

上記の問題は経営コストの圧迫や雇用上の問題、機会損失という社内の問題でしたが、これらによる最悪のケースは競合企業に顧客や優秀な新規雇用者を奪われるという大問題につながります。たとえ、ある程度先代が築いてきた信頼性により経営が成り立つとしても、少子高齢化による労働力の減少や顧客の減少は気付かないうちに経営をむしばんでしまいます。

このように、企業にホームページがないと悪い影響ばかり……ということが分かっていただけたでしょうか。 ここまで見ていただけたなら、IT化の必要性も理解していただけたと思います。

次は前向きに、小規模企業に活用できるIT化の選択肢を紹介していきます。

小規模企業に活用できるITには何があるか

小規模企業に活用できるITには、「インターネット活用」「ホームぺージ活用」「PCソフト・昨日活用」の3つの種類と、プラスαで「スマートフォン、タブレットの活用」があると考えます。
一つずつその必要性について解説していきましょう。

インターネット活用

ITとはinformation technologyの略です。現代においてinformation(情報)はインターネットによって世界中の人に利用されています。まさにITの中核ともいえるインターネットは、小規模企業の効率化や事業における施策の幅を広げてくれます。

まず古い体制の小規模企業では、「ネット上での仕入れや物品の発注」ということに意外と取り組んでいないのではないでしょうか。「昔からの付き合いで設備投資は○○○にお任せしている……」という会社もあるかもしれません。しかし、この点はコストカットの必要性が出てきたときに見直すべきです。インターネット上で仕入れの仕組みを確立しておけば、安い設備を時間をかけることなく仕入れることが出来ますし、自動化も可能です。

ホームページ活用

自社ホームページを持たないデメリットは、先述の通りです。メリットはその裏返しですが、これに加えて受発注や予約がホームぺージを介して可能になると業務の効率化につながり、最終的にはそれに伴うコスト削減・さらなる販売機会の創出が期待できます。

例えば、今までホームページ上に予約フォームが無く店頭のみで商品購入の募集をしていたケーキ屋があったとします。それが予約フォームを導入することで、予約に対応する時間や人的コストだけでなく、ホームページを通じて新規の顧客を呼び込むことが可能になります。

ホームぺージに加えて、近年はSNSを活用する企業が増えてきました。SNSは会社のサービスや商品をPRするのに、かなり大きな力を発揮します。例えば、TwitterやInstagramで数万・数十万のフォロワーを抱えているインフルエンサーアカウントで商品を宣伝すれば、一定の購入効果や商品に対するファン層の創出も可能なのです。

PCソフト・機能活用

冒頭で紹介した「2018年版の中小企業白書」によると、オフィスソフトの利用は、6割以上の小規模企業で進んでいますが、パッケージソフトになると4割程度の利用にとどまっています。パッケージソフトとは簡単に言うと、特定の業務に使用するために作られた専用ソフトです。

オフィスソフトがあれば十分業務が進むのでパッケージソフトは必要が無いという企業と、そもそもパッケージソフトの必要性が低い・評価が低いため、そこに予算が組めないパターンがあるのでしょう。しかし、自社に合うパッケージソフトが見つかれば、業務の効率化が大きく進むので、もっと積極的に検討しても良いと言えます。

プラスα:スマートフォン・タブレット活用

こちらをプラスαにしても加えたのは、必須ではなくとも十分にIT化による効果も期待できるからです。業務形態によりその必要性は変わりますが、例えば出張営業がある会社の場合は顧客に分かりやすくサービスや商品を説明するために重宝するでしょう。PCでも可能ですが、持ち運びの負担に加え、起動時間の遅さや操作性に少し手数がかかりますよね。一方、スマートフォンやタブレットなら顧客を待たせることなく画像やパワーポイント・アプリケーションを利用した説明ができます。


これはあくまで一例ですが、このような「PCでは都合が悪いけど、タブレットなら便利」という場面は現代なら多々あるでしょう。

IT活用が最高の投資である理由

ここまで読んでいただければ、IT化が小規模企業に十分に貢献してくれると理解していただけたかと思います。しかし、ここまではIT化「していない場合」のデメリット面を強調して話してきました。今回の本題ではIT化が今後の日本において更なる重要ポイントとなる点や今まで話してきたような一般論では収まらない効果を説明してきます。

少子高齢化による業務効率の必然性

少子高齢化による日本経済の見通しの悪化は十数年前から話題になっていますが、すでに国内企業への影響は出始めています。東京商工リサーチの記事によると、2018年度の人手不足関連倒産件数は400件(前年度比28.6%増、前年度311件)に達しました。これは最多件数を塗り替え、今後もこの見通しが続くとされています。これに関しては、なかでも小規模企業が特に影響を受けやすいため具体的かつ効果的な施策を考えなければいけません。数ある施策の中でも、今回はIT化による人員削減の余地があることを説明していきます。

IT化による人員削減の効果は多方面で期待できますが、まずはどんな企業にもある例として「お問い合わせの減少」に効果があるでしょう。ホームページが無いことで情報開示不足による問い合わせが増加する点は前述した通りです。また、ホームページ内に質問フォームを導入することで基本的な質問に対応する時間・人的コストが軽減されます。

近い将来の人員削減の可能性については、最近話題のVR出社が良い例でしょう。実は、米国ではすでにVR出社で業務活動をバーチャル化している企業があります。「業務の大半をVRで!バーチャル出社導入で米国の不動産企業が高い成長率を叩き出す!」によると、その企業はオフィスにかかるコストや従業員の移動コストを削減するだけでなく、世界中の有望な人材を雇用して急成長をしています。このような働き方は今後もっと広がっていくでしょう。当然、これもIT化による人員削減や効率化の良い例です。

IT活用による企業のシナジー効果

シナジー効果とは、経営の相乗効果を示します。つまり、既に存在している事業をさらにアップグレードして効果的かつ大きな利益を生み出す施策とも言えるでしょう。


顧客情報を紙媒体で保管している企業があったとします。この企業の顧客情報をPC上に保管したとしたら、得られるメリットは紙を置く場所を他に活用できること、特定の顧客情報を探す手間が減るなどがあります。では、さらにIT化を進めたとして、顧客情報を完全クローズドのクラウド上に保管したとします。すると、ただPC上にデータとして保管するよりも紛失の危険性が無くなります。また、別のデバイスを使ってもログインさえすれば顧客情報を引き出す場所にとらわれないというメリットもあります。これらを進めた場合の経営上の効果は、営業活動・時間の削減・信頼性向上など複数あると言えるでしょう。「顧客情報」という単純なテーマでもここまでの効果が見込めるのは、IT化の大きなメリットではないでしょうか。

海外企業とのレベルの差

先述のVR出社のように、先進的な取り組みをしている企業が世界中で増えてきています。大規模なグローバル化により日本の企業は国内だけではなく海外の企業とも戦わなくてはなりません。その傾向が強くなっていくこれからの社会で小規模企業が生き残っていくためには、保守的な経営方針ではまず難しいでしょう。 IT化は必須です。その上でプラスαを出し、戦っていく必要があります。

まとめ

IT化は間違いなく、これからの会社運営に重要な要素となっていくテーマです。しかし、それに気付いていない経営者も多くいます。

あなたの会社は現時点でIT化されていますか?

もし、この記事をお読みいただいて改善の余地を 見つけていただけたら光栄です。

(ライター:菅野浩太)