小規模企業向け!クラウドサービスの導入で人材育成を加速させる

従業員が多い大企業に比べると、従業員の少ない小規模企業の場合には一人当たりが担当しなければならない業務の範囲が非常に広くなります。例えば、大企業であれば人事・総務・経理などそれぞれに複数人がいますが、小規模企業では一人の人が全て兼務し、さらに営業も担当する、といったことも普通に行われています。つまりゼネラリストが求められているのです。

このため、新規で採用をして戦力になる人材を育てるには、教育する側もされる側も非常に多くの時間と労力を必要とします。

小規模企業の経営者や人事担当者であれば、多くの方が、この点を実感していることでしょう。

そこでおすすめしたいのが、クラウドサービスを活用した教育。クラウドサービスをうまく取り入れると効率よく教育を進められます。

ゼネラリストの必要性

小規模企業では、一人一人がゼネラリストでなければ仕事を円滑に進められません。広い範囲の知識を持ち、状況を把握することで効率よく仕事を進めていく……、そんな人材が多ければ多いほど、少ない人数でも業績を上げることが可能です。

ゼネラリストの定義

そもそもゼネラリストとは、どのような意味で使われているのでしょうか。

似たような言葉としてよく使われるのが【スペシャリスト】。これは特定分野の専門性を突き詰め、特に秀でている人のことを指します。加えて、スペシャリストは、広い範囲の知識や技術を持っていて、日本語で表現すると「多能工」という表現が近いです。

ゼネラリストとスペシャリストは相反する言葉ではありません。特定の分野で高い専門性を持つスペシャリストでありつつ、さらに関連分野の幅広い業務をこなせるゼネラリストでもあるという人も大勢います。

専門性が一つの場合には、【T型】、二つある場合には【π型】と呼ばれ、π型の人材になることができれば、重宝されるでしょう。

ゼネラリストの重要性

大企業であれば、部長や課長などの管理職はゼネラリストである必要があります。そして特定分野のみを担当する場合には、その分野を深堀していったスペシャリストが重宝されます。

一方で小規模企業の場合には、担当すべき業務範囲が広いので、単にスペシャリストであるだけでは十分な仕事をこなせません。必然的にゼネラリストであることが求められます。

企業の人数が少ないほどその傾向は顕著になるでしょう。

そして誰かが欠けたときに、その人の仕事をカバーしようとしても、分からないことが多くサポートできなかったり、人的余裕がなかったりして、業務が滞ってしまうのです。

ゼネラリスト育成の難しさ

広い範囲の知識を有するゼネラリストを育てるのが難しい理由は、2つあります。

教育をする時間がない

ゼネラリストは幅広い知識を身に付ける必要があります。少しずつ知識を定着させていく必要があるため、特定分野の知識を深堀していけばよいスペシャリストよりも育成に時間がかかります。

しかし、小規模企業の場合には教育ができる人材が少ないうえ、教育をする時間を取ることが難しいのが現実です。人的余裕があれば、一人が教育をする時間が少なくても、人数をかけることで対応可能ですが、人数が少ないと一人が担う負担が大きくなります。でも、通常業務がある中で、かけられる時間は限られていますね。

働き方改革推進法案が2019年4月に施行され、今後は従業員の労働時間が減っていく傾向にあります。しかし業務は減らないので、仕事の仕方や環境を変えないと、今以上に教育の時間は減ってしまいます。それではゼネラリストを育てることは難しいです。

何から教えたらよいかわからない

ゼネラリストを育成する際には、 「今、自社に必要な人材はどういったスキルを持つ人なのか」 「何をどの順番で教育していったらよいのか?」という点の見極めが非常に難しいです。

闇雲に教育をしてしまうと、詳しい知識を持つ人材が豊富な分野と、分かる人が一人しかいないといった分野ができてしまいます。せっかく時間を取って教育したにも関わらず、仕事で活かす機会がないともったいないですね。

また、定期的に教育をしているわけではないので具体的にどんな内容をどうやって教えたらよいのか?常に考えながら取り組む必要があります。これは教育する側にとっては大きな悩みになります。

課題解決に!クラウドの活用

ここまでに解説した人材育成の課題を解決し、小規模企業でゼネラリストを効率よく育成するために、おすすめしたいのがクラウドの活用です。

クラウドには多種多様なものがありますが、ここでは従業員がネットワーク上でファイルを管理できる状態をクラウドの活用とよびます。

クラウドを活用するメリットは、インターネットが使える環境にあれば、場所を選ばずに必要な情報にアクセスできる点。出張先や移動時間、打合せまでの待ち時間など、ちょっと空いた時間に資料を読み込んで学ぶことが可能になります。 そして横に教えてくれる先輩がいなくても、クラウドにノウハウをまとめておくことで、経験が浅い社員も自ら情報を探し、解決できることが増えるでしょう。

近年は、 社員全員が会社に集まって働くといった働き方から、テレワークなど働く場所にとらわれない働き方が広がりを見せています。こうなってくると、対面でしか教育ができないのはマイナス。離れた場所にいても、教育する方法が求められているのです。

ここでは、具体的なクラウドの活用方法を2つご紹介します。

ノウハウの蓄積

仕事の中で個人が得た経験やノウハウは、どうしても個人のメモ帳や個人のパソコンの中に眠ったままになってしまいがちです。これでは、次に同じような経験をすることがあっても生かされず、他のメンバーの経験を活用できません。

そこで、こうした経験やノウハウをクラウドに保存することをおすすめします。

クラウドでは、それぞれのファイルにアクセス権の設定が可能です。Aさんは編集が可能な設定に、Bさんは閲覧のみ、Cさんは見えない設定にといったことができます。

経験を言語化することで、自分自身も知識を定着できますし、他の人はノウハウを確認してから始められるので、先人の経験を生かして効率よく仕事を進めていけます。

ただし、忙しい場合にはノウハウの蓄積が不十分になってしまいがちです。そこで、蓄積をすることに何か従業員のメリットを与えるとより高い効果をもたらすでしょう。

スキルマップの作成

何から教育していったらよいかわからないという場合には、スキルマップを活用するのがおすすめです。スキルマップにあまり馴染みがない人もいるかもしれません。これは、従業員それぞれが持っている能力を可視化したものです。

まず、企業の業務内容として必要な能力をリストアップしていき、表計算ソフトなどの横軸に並べていきます。それぞれの能力に対して、今後の企業活動のためにはどの能力をどれくらい持っている人が何人必要なのか?という目標値を設定します。

次に、縦軸には従業員の名前を並べていきます。一人一人が横軸に並べた能力をどの程度持っているか点数付けをし、可視化していくことでスキルマップを作れます。目標の人数に対して、不足している能力を優先的に高めていく必要があります。

スキルマップ作成の際に注意したいのは、それぞれの能力が何を意味していているのか定義を明確にすること。また、点数の根拠を明確にすることが必要です。

これをクラウド上に保管しておくと、誰でも確認できるようになり、企業を発展させていくために何を優先して教育していけばよいのか明確になります。

おすすめのクラウドサービスの種類

クラウドサービスには様々な種類があり、ファイルを管理するサーバー上に置ける容量や月額費用などが異なります。また、他にも遠隔でファイル管理ができたり携帯端末からアクセスできたりと特徴があります。

状況に合わせて適切なサービスを選択したいですね。

ゼネラリストを育成するためには、

  • 直感的に操作し、抵抗なく使ってもらえる
  • 複数人で同時に編集ができる
  • アクセス権を簡単に設定できる
  • 導入コストが高すぎない

という観点で選択するといいでしょう。

以下におすすめのクラウドサービスをピックアップしましたので、参考にされてください。

Dropbox Business

Dropbox自体は日常的に使用している方も多いかもしれませんね。Business版も展開されていて、企業向けにセキュリティや管理機能が個人版と比較して充実しています。直感的なユーザーインターフェースで始めてでもわかりやすいのは嬉しいですね。

また、パソコンからだけでなく、タブレットやスマートフォンなど様々な環境からアクセスする事が可能で非常に便利なため、日本でも導入する企業が急速に拡大しています。

社外で使う場合には、ファイルのダウンロードやアップロードのスピードも重要。その点、Dropbox Businessは、自社インフラと特許を取得している技術を活用する事で、通信環境があまり良くなかったとしても大きなストレスを与えません。

料金も、2TBまで1ヶ月辺り1,250円と非常にリーズナブルで小規模企業であればこれで十分ではないでしょうか。仮に足りない場合には、さらに状況に応じてアップグレードすることも可能です。

使いやすいインターフェースと小規模企業でも導入しやすいコスト設定がおすすめです。

Dropbox Business

Fleekdrive

クラウド上に保管しているファイルを同時に複数人が編集することで、作業効率を上げたり、目の前で文章の書き方を見せたりできる点が特徴です。また、作成し保管しておくファイルに対してレーティングを付与できるので、スキルマップに基づいて能力を身につけるためにはどこから手を付ければよいかなどを可視化できます。

編集までできる・閲覧のみなどファイルごと、人ごとにアクセス権を変更可能。編集されたくないノウハウなどには閲覧権限のみ付与することで、間違って削除されてしまったり変更されてしまったりといったリスクも避けられます。

Dropbox Businessに比べると初期費用は高くなりますが、30日間の無料トライアル期間がありますし機能が異なりますので、気になる場合には試してみるとよいでしょう。

複数人での同時編集とアクセス権の設定自由度がおすすめポイントです。

Fleekdrive

セキュアSAMBA

新しいシステムを導入する際には、どうしても使い慣れるまでに時間がかかってしまい、その間はどんなに便利なシステムでも従来より時間がかかってしまいます。かといってマニュアルをじっくり読みこんで使う余裕がないのも現実ですね。

そんな心配を最大限減らせるクラウドサービスが「セキュアSAMBA」です。普段パソコンを使っている感覚で使用でき、すんなりと有用なシステムを活用できるため、新システム導入時の効率悪化やストレスを感じることが少ないです。

セキュリティ管理も十分で社内だけでなく外部とのファイル共有もできますので、機能面も不足はありません。また、アカウント数や機能などをカスタマイズ可能な点も魅力です。もちろん自分で選択するのが難しい場合は決められたプランからも選択可能です。

ネックは初期費用が掛かることと、先に紹介した2種類に比べると少しコストが高いことが上げられるので、それを補うメリットを感じるかが選択のポイントでしょう。

使いやすいインターフェースとセキュリティに配慮したアクセス権設定が特徴です。

セキュアSAMBA

まとめ

小規模企業の場合にはその人数の少なさから、一人一人がこなせるようにならなければいけない業務の幅は非常に広く、ゼネラリストの育成が求められます。一方で、忙しい中教育をしていくのは簡単ではありません。

クラウドサービスを活用し、スキルマップを作ることで必要な能力を明確化し、今はどの能力が足りない状態なのかを可視化します。これで、時間がなくてもどこから着手すればよいか優先順位をつけられますね。

また、重複して作ってしまいがちなノウハウ集やマニュアルもクラウド管理することで共有でき、学びたい人も見つけやすいため、教育にかかる時間を大幅に減らせます。

クラウドサービスの種類によっては、外部とのやり取りができたり、併用できる管理ツールが付属していたりとリーズナブルに様々な便利機能が活用可能です。

教育にかかる時間分だけを効率化できる効果と、クラウドサービスの導入の費用を比較すると、圧倒的にクラウドサービスの導入費用の方が小さいことが分かります。効率よく必要なゼネラリストの育成が進むことを期待しています。

(ライター:隼)