Web会議システム導入による小規模企業の働き方改革の加速と出張経費削減
仕事をしていると、社外の人と打ち合わせをする機会があると思います。取引先の方が自社に来てくれることもあれば、取引先に出張をすることもありますね。仕事を円滑に進めていくために打合せは不可欠ですが、出張時の移動時間と出張の費用は馬鹿になりません。
特に、小規模企業の場合には一人一人が担当する領域が広いので出張の回数が多くなりがちです。そして誰かが出張すると止まってしまう仕事も多くなります。しかし、止まった仕事を他の人がカバーするのも難しく、仕事が溜まってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
仕事の質は最大限維持しつつも、出張経費や出張時の移動時間を削減するためには昨今話題のWeb会議システムの導入がオススメです。Web会議システムを導入することでどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?また、オススメのWeb会議システムと使用をする際のポイントを見ていきましょう。
取引先と会うメリットとデメリット
出張は前述したように負担に感じる面もありますが、相手と会って話せるメリットは当然あります。まずは改めて取引先と会うメリットとデメリットを確認していきます。
取引先と会うメリット
実際に顔を突き合わせて打ち合わせをすることで、短時間であっても、より深い人間関係を構築しやすくなります。特に、初対面の相手とは電話会議やWeb会議よりも対面の方が話をしやすいでしょう。また初回だけでも、対面で打ち合わせをしておくと、その後はWeb会議などでもグッと話を進めやすくなります。
相手との関係だけでなく、打ち合わせの内容によっては、対面での話し合いが必須となるケースもあります。例えば、素材の質感などを見比べながら打ち合わせをしたいときは、Webカメラを通して素材を確認するのではなく、実際に触れながら話をする方が誤解が生まれません。つまり、その場でしか体験できないこと、見ることができないものを確認する必要がある場合には、出張にかかるコスト以上に会うメリットの方が大きくなります。
このように、Web会議や電話会議システムが使用可能な場合であったとしても、出張をして対面で話をした方がいい仕事も多くあります。
取引先と対面での打ち合わせにこだわるデメリット
一方で、取引先と打ち合わせが必要だからといってむやみに出張ばかりしていると仕事に悪影響を与える場合もあります。
出張をすると移動時間が必要になりますし、移動をする際には徒歩や自転車でない限りは交通費も必要となります。出張の頻度が時々であれば、それほど影響は大きくないかもしれませんが、会社全体としてはかなりの額になりますね。
また、部下が出張をする際には管理者は部下の業務進捗や極端な言い方をすれば、部下がしっかり仕事をしているか、無理をして働き過ぎていないか、確認することが難しくなります。小規模企業では一人当たりの業務範囲が広いため、出張中は出張の目的に関連した業務以外が止まってしまうことも大きな痛手です。
以上のように対面での打ち合わせにもメリットがあり、100%失くすことが良いこととは考えません。ただし、デメリットに繋がることも多いため、出張をして会って打ち合わせをする必要があるのかを毎回検討し、できる限り削減していくのが望ましいでしょう。
Web会議システムの導入
単に対面での打ち合わせを減らすといっても、それで仕事が進まなくなってしまっては元も子もありません。出張による打ち合わせの代わりとして、近年多くの企業に導入され急速に広まっているのが、Web会議システムです。
Web会議システムとは、どのようなものか見ていきましょう。
Web会議システムとは?
Web会議システムは、インターネットに接続できる環境があれば利用可能で、パソコンやタブレット端末を用いることで、離れた場所でも会議を行えるシステムです。最近は、スマートフォンで参加できるWeb会議システムも増えてきています。映像が必要な場合にはPCに内蔵されているWebカメラや外付けのWebカメラを使用し、音声はイヤホンマイクを使用します。
Web会議システムのメリット
今までは主に直接会って打ち合わせをするか、電話会議が主流でした。映像を共有するためにはテレビ会議という選択肢もありますが、さまざまな設備が必要なうえ、特定の部屋でしか実施できず気軽に使えるという状況にはありません。
Web会議は遠隔地にいても手軽に利用可能です。相手の表情を観ながら話をしたいときはWebカメラを使用できますし、パソコンの画面を共有しながら話を進めることも容易です。共有したい資料をカーソルの操作も含めて確認することで、会議がスムーズに進んでいきます。
Web会議システムのデメリット
一方で、web会議システムにはデメリットもあります。インターネットを利用しますので、ネット環境が使えない屋外などでは会議を実施することはできません。また、通信環境が悪いと、音声が乱れたり、音声と画面の共有にずれが発生するなど、スムーズな会議の進行ができない場合があります。
ただし、屋外でも公共の電波を使用したり、モバイルWi-Fiなどを持っていたりすれば、利用可能です。そもそもあまり屋外でWeb会議をしようと考える人は多くないかもしれませんね。
Web会議による出張経費と工数削減効果
Web会議システムを導入すると、出張における費用を削減できます。具体的な項目としては、移動時間分の給料や出張時の交通費です。更に、出張時に食事手当や日当を付けている場合には、その費用も削減が可能です。
例えば、毎週高速道路を使って片道30分の場所に定例の出張があり、2人で出席していた時、これをWeb会議システムを利用した方法に変更すれば、次のような経費削減効果があります。
出張時の移動時間分として、30分×2(往復分)×2人で、1回あたり2時間。また、自動車での出張費用として高速道路の利用料金が500円×2(往復分)にガソリン代が300円程度。仮に時給が2,000円とすると、1回の出張で5,300円程度の経費がかかり、1カ月(4回の出張)だと21,200円になります。
週に1回ではなく、出張による打ち合わせが多い場合、月に20日稼働するうちの半分と考えても10回で合計は月間53,000円、年間で636,000円と大きな金額になります。実際には出張人数や回数によって変動する部分が多いですが、このうちの数割でも減らせれば大きな効果があります。
また、出張用の車両が必要になったり、遠方への出張の場合には宿泊費や食費の補助が必要になったりする場合もあります。拘束時間も長くなるため、出張1回あたりに必要な経費は数万円、海外出張の場合には数十万円~数百万円単位で必要となり、大きな経費削減効果が期待できます。
打ち合わせが多い企業の場合は、Web会議システムの導入コスト及びランニングコストと、導入後のコスト削減効果を比較して積極的に検討することをオススメします。ただし、コストだけでなく、それぞれのメリット、デメリットもしっかりと考慮してくださいね。
移動時間は全て削減できますので、その分を他の仕事を進めるために使え、トータルの労働時間が減り働き方改革にも繋がります。
小規模企業が選択するWeb会議システムの基準
数あるWeb会議システムですが、どのような基準で選べばよいのでしょうか。ここでは小規模企業に焦点をあて、観点を2つ紹介します。
主要な取引先に合わせる
Web会議を行うには、当然、相手にも同様の環境が必要になります。Web会議システムの中には、参加するすべての端末にWeb会議用のアプリケーションがインストールされていないと参加できないものがあります。主要な取引先が、双方でインストールが必要なシステムを利用しいている場合には、そのシステムの導入を検討するのも一つでしょう。
ただし、複数の企業がそれぞれ異なるWeb会議システムを使用している場合、取引先ごとに使用するWeb会議システムを使い分け、それぞれ準備しておく必要が出てきます。初期の導入費用は掛からない場合が多いですが、ランニングコストは契約内容によりますが、かかるものが大多数なので、利用頻度も考慮して選びましょう。
自社が導入していればよい
主要な取引先が複数あり、それぞれが異なるWeb会議システムを導入している場合には、そのすべてを準備するのは難しいですね。そのような場合には、自社だけがシステムを導入していれば、該当システムを導入していない取引先ともWeb会議システムが実施できるような製品を導入しましょう。
実際に、世界で最も広く使われているcisco社のwebexというシステムは、接続拠点数に制限はあるものの自社が導入していれば、導入していない場所とでもWeb会議を実施できます。
Web会議システムでスムーズに会議を進めるコツ
Web会議システムを用いた会議を、実際に面着で進めているのと同程度の効率に近づけていくためには、コツを理解し工夫をする必要があります。気を付けるべき点と、その理由をいくつか解説します。
発言時以外は音声をミュートにする
Web会議に出席する際の環境に依存する部分ではありますが、マイクを使って音声を入力するため、周囲の音も一緒に拾ってしまう可能性があります。特に、Web会議は基本的に1人でログインすることが多いので、専用の会議室ではなく自席で参加する場合もあります。その場合、周囲のキーボードタイプ音や業務上のコミュニケーション、電話の声など会議にとっての雑音が入ってしまいます。
雑音によって音声が聞こえず、本来必要な議論に悪影響が出ないようにするために、自分自身が発言する時以外には、マイクをミュート状態にしておくと良いでしょう。不要な雑音が入らずに会議をスムーズに進められます。
顔を突き合わせて表情やジェスチャーによるコミュニケーションが取りにくいWeb会議では、音声が明確に聞こえないと会議の効率が非常に悪くなり、ストレスを感じますので、気を付けたいポイントですね。
全員が共有できる形で議事録を作成
会議の議事録を作成するのは手間がかかりますし、会議が終わった後に作成し、参加者に認識違いがないかを展開。その後不備があれば修正し、再度展開……と非常に面倒です。また、確認するタイミングが会議から時間が経ってしまうと、忘れてしまう場合もあります。
そうならないよう、Web会議システムで共有している画面上で、会議の進行に合わせて議事録をとっていくのがオススメです。参加者が各自で取るメモは、特に自分自身が重要だと感じたポイントのみに絞れますし、会議後の議事録作成や確認・修正に時間を取る必要もなくなります。途中で内容の理解に差異があれば、すぐに気付けるのもメリットです。
また、会議中でも画面上で共有している議事録に戻れば、それまでの経緯を把握できますので、途中参加や、少し前の議論に戻る場合にもスムーズに進行できます。
オフラインで議論を進めない
複数人が一ヶ所からWeb会議に参加している場合、Web会議上では把握できないような板書や声の大きさで、オフラインで議論を進めるのは良くありません。他の拠点から参加している人は内容や経緯を理解できないので、取り残されてしまいます。
どうしても一ヶ所に集まると、そこで議論が進んでしまうのであれば同じ拠点から参加する場合であっても、それぞれ別の場所から個別でログインをすれば、全参加者が同様の環境で参加できるため、一方的に議論が進んでしまう状況は避けられます。
上司や同僚と相談をしながら、言葉を選びながら発言する必要がある場合には個別でログインするのは難しいかもしれませんが、準備は可能な限り事前に済ませておくとよいでしょう。
対面での打ち合わせよりもハキハキと話す
利用するシステムによっては、Web会議で資料を共有している場合には、Webカメラを使用できません。対面であれば、表情の変化や目線、ジェスチャーなどで言葉だけではないコミュニケーションを同時に取れますが、Web会議はこの点が劣ります。
その分声の大きさや調子、声色などで表現する必要があります。前向きに会議を進めていくために、普段よりも意識してハキハキと話すようにしましょう。聞き取りやすいですし、歯切れがよくなりますので、テンポよく会議を進行させられます。
まとめ
出張が多いと移動時間ばかり取られて、少数精鋭で一人一人が幅広い仕事を受け持っている小規模企業では、仕事が止まってしまうことが多くなります。結果として、出張経費がかかると共に、労働時間が長くなります。
Web会議システムを導入すると出張をせずに会議ができるため、工数や経費の削減に繋がります。出張場所や人数、頻度にもよりますが海外の場合には100万円近く削減できる可能性もあります。
Web会議システムを有効活用していくためには、不便をできるだけ排除するために工夫をする必要があります。例えば、発言していないときのミュートや、共有可能な形で議事録を会議の進行に合わせて作成するなど、会議の効率向上と共に、会議終了後の工数提言も実現できます。
複数あるWeb会議システムを小規模企業に導入する際には、取引先の企業に合わせて同じシステムを導入するか、相手が導入できていなくても活用可能なシステムを選択するのがおすすめです。Web会議システムを有効活用して働き方改革と経費削減を推し進めましょう。
(ライター:隼)